若い頃の自分に言いたいこと
誕生日を、家族が祝ってくれた。
「おめでとう」
「ありがとう」
そのやり取りだけで、少し胸が詰まった。

なんでか分からないけど、感動して、涙が出た。
嬉しくて、でもどこか、
気を使わせてしまったようで、
申し訳なさもあり、声をつまらせた。
豪華でもないし、特別な場所でもない。
ただ、家で、家族と過ごしているだけ。
でも——
こういう時間が、一番残る。
若い頃の自分に言いたい。
あの頃、何を大事にしていたのか。
見た目とか、プライドとか、
そんなものばかり追いかけていた気がする。
でも今は違う。
こうやって、
誰かが自分のために時間を使ってくれること。
それが、どれだけ価値のあることか、分かる。
その日は、夜勤明け。
翌日の夕方から、また夜勤。
正直、時間はなかった。
それでも家族は、その中で、
時間を作ってくれた。
その“時間”に、意味がある。
先祖供養のため、玄関先で迎え火を焚いた。

赤羽焼の手あぶりに、麻がらをくべる。
静かに立ち上る煙と火を見ながら、
どこか、心が整っていくのを感じていた。
夜になって、花火をやった。

消えかけの光が、やけにきれいだった。
パチパチと光って、
すぐに消える、小さな火。
でも、その一瞬が、やけに残る。
誕生日も、迎え火も、花火も、
すぐ終わる。
でも——
その時間は、消えない。
その夜は、家族と一緒に眠った。
そして、次の日。
夕方から夜勤。
時間を合わせるために、
夜中、一人で酒を飲んだ。
静かな時間だった。
でも、不思議と寂しくはなかった。
むしろ、満たされていた。
若い頃の自分に言いたいこと。
もっと早く気づけたかもしれない。
でも、遠回りしたからこそ、
今、ちゃんと分かる気もする。
無駄だったとは思わない。
ただ——
もし、少しでも早く気づけていたら、
もっと違う生き方もあったのかもしれない。
人生とかけまして、
若い頃の自分に言いたいことと解きます。
その心は──
どちらも、迎え火や送り火のように、
静かに燃えて、
後になって、心に焼き付きます。
四十八歳を、無事に迎えた。
まだ、道半ば。
寄り道ばかりで、
道草ばかりの珍道中。
それでも、
まだ歩いている。
西野道夫が、
自分で選んだ“西の道”を、今日も歩いている。
これからも、どうぞよろしくお願いしやす。
▶︎他にも「人生で気づいたこと」を書いています
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