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重箱の隅を突つく訳では無いが、目に余る埃ひとつ無い店内。整理整頓された棚には
選りすぐりの陶器を主とした、茶器・花器・飾り物・・・などの品々が、綺麗に並んでいる。
ガラスケースの中も同様に、しっかりとした価値のある品物が、興味の有る者を惹きつけている。
暫く物色し見学して居ると『 いらっしゃいませ 』3代目店主から、声を掛けていただき
緊張を鎮めてから・・・徐に、俺の所有している善光寺焼の焼物の話をして
其の焼物の歴史を辿って、見聞き脚を使い調べてから…此処に、辿り着いた旨を伝える。
『 善光寺焼は、うちの窯で焼いた物。少しだけ残してあるけど、良かったらどうぞ 』
思い掛け無い意外な展開に、驚きを隠せず案内されたまま、3代目店主の後に続く
店の奥には、畳が敷かれた空間があり、一面ガラス張り…開放的に光が射している
そこから眺める景色は、春夏秋冬 楽しめるだろう。数寄を凝らした立派な中庭に、目を落とす。
江戸時代から今も尚、水が湧き出ている井戸があり、其の横を通り抜けて『 御待ちください 』
より一層に、上品で雅やかに建っている蔵。入口で待っていると、灯りが点され蔵の中へ
所狭しと品々は在るが、ひとつひとつ丁寧に包装されていて、よく見ると、これまた素晴らしく
綺麗に整理整頓されている。胸の高鳴りを感じながら、気持ちが張り詰めて引き締る。
『 土足でどうぞ 』優しい掛け声で、蔵の中に導く3代目店主。其の後を追いかける様に、
2階への階段を登り終えると、奥の方から3代目店主が『 これが、善光寺焼です 』一言
そこで目の当たりにした物は、マジで半端じゃなく、腰を抜かす程の驚きを隠せず、目が点。
花生け・一輪さし・湯呑み茶碗・盃等、俺の教科書的な代物【 しなのの陶磁器 】に載っていた
総てが、本物の中の本物・善光寺焼!! 本物を目の前にして、生き証人でもある、3代目店主は
『 折角、来てくださりましたので、おひとつづつ、どうぞ』と、本物の盃を差出し
『 今夜は、どうかこの盃で、一杯やってください 』懐の深さに感銘し、有り難く頂戴。
俺が所有している、善光寺焼の特徴は、付け高台。其処に呉須で、手が施されている。
嬉しい事に、実は以前、これと同じ盃を5客、小布施町にある【 古美術 そったく堂 】
店主の笹岡昭一氏を尋ね、掘り出しみつけ、譲り請けた盃で、従って全部で6客所有している
兎にも角にも、窯元より全く同じ本物を戴いたことが、自身の中で本物と証明された訳で
さておき、3代目店主.自身が本物であり、本物の体験を基に、本物が自ら語る、善光寺焼。
善光寺焼の窯を興したのは、長野市吉田【 横文本店 】の横田源太郎氏の祖父
文五郎と西後町にある【 横分陶器店 】の店主 横田文雄氏の先代 文八の兄弟で
出資は兄 文五郎が、実務は文八が当たった。昭和30年代に窯業は終止符を打った。
善光寺焼の窯跡は、善光寺と信濃美術館の間を、まっすぐ北へ進んだ小高い丘の斜面
此処の地籍の今は、長野市上松2丁目25番地となっているが・・・
明治末年には、上水内郡三輪村大字上松であった。と【 しなのの陶磁器 】に記されている
御開帳・・・善光寺焼で乾杯! ③ へ続く
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