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小布施「鴻山の妖怪夜会」へ|三兄妹で妖怪になった、夜の小布施

小布施「鴻山の妖怪夜会」2026で仮装を楽しんだ三兄妹と骸骨マスク 小布施の歳時記

2026年9月5日、土曜日。

小布施の夜に、妖怪たちが集まる。

この日は「鴻山の妖怪夜会」。

高井鴻山記念館を中心に、
北斎館、日本のあかり博物館を巡る。

お化け屋敷。

クイズ。

スタンプミッション。

そして、仮装コンテスト。

夜の小布施を歩きながら楽しむイベントだ。

開始は18時。

余裕をもって行くつもりだった。

――つもりだった。

しかし、西野家の場合。

会場へ着く前から、
すでに妖怪夜会は始まっていた。


家で妖怪をつくる

一番気合いが入っていたのは、長男・穣。

白いTシャツに、白い包帯。

腕に巻く。

肩にも巻く。

頭にも巻く。

そこへ、骸骨のマスク。

最初は、それだけだった。

ところが穣が、
胸のあたりに赤いマジックで血のような点を描き始めた。

それを見て、私が言う。

「絵の具でやった方がよくない?」

赤い絵の具を出すと、
穣も一気にその気になった。

「お父さん、こっち来てみ」

「ほら、すげえ」

白いTシャツも。

白い包帯も。

みるみる血だらけになっていく。

最初は真っ白だった穣が、
すっかり別人のようになった。

白い衣装と骸骨マスクの準備から、赤い絵の具を加えた仮装完成までを並べた三枚組写真
包帯を整えるところから、仕上がった姿まで。三枚並べると、家を出る前の支度の時間までそのまま残っている。

同じ白い衣装でも、
赤が入るだけで雰囲気は一変。

三枚を並べると、
この日の仮装が仕上がっていく様子がよく分かる。

出来上がった自分を見て、ひと言。

「この血の色なら、みんな驚くこと間違いなしでしょ」

すごい自信がある。

確かに、
最初の真っ白な姿とは別人だった。

ただし、
支度がこんなに順調だったわけではない。

穣は頭にも包帯を巻いてほしい。

でも、お母さんは
織と藍の髪のセットで忙しい。

「じゃあ、お父さんが巻いてやるか」

私が巻く。

すると、

「きつい」

一度ほどく。

また巻く。

マスクのこともあって、
またほどく。

頭の包帯ひとつで、
何回やるんだ。

その横では、
赤いマジックを取り合う。

髪をセットする。

衣装を探す。

長女・織は猫耳。

次女・藍は魔女。

とんがり帽子をかぶり、
手には魔女らしい棒。

私が言う。

「杖も持ってけばいいじゃん」

すると藍。

「杖じゃないよ。スティックだよ」

さらに、

「杖じゃ、おばあちゃんになっちゃうじゃん」

なるほど。

魔女は杖ではなく、
スティックらしい。

織と藍は二人して、

「かわいい?」

「かわいいよ」

その横で穣は、
低い声を出してこちらを脅かしている。

「うぅぅ……」

「怖いからやめろ」

出発前から、
妖怪より家族の方が騒がしかった。


18時15分、夜会へ

小布施の中心部へ着いたのは、
18時15分ごろ。

もう夜会は始まっている。

鴻山の妖怪夜会会場で母親と並ぶ、猫耳姿と魔女姿の娘たち
会場の灯りの中でひと休み。家での慌ただしい支度とは違う、少し落ち着いた表情が残った一枚。

支度を終えて、ようやく夜会の中へ。

魔女姿も、
すっかり板についてきた。

国道403号から北斎館方面へ入り、
まず家族を先に降ろす。

私は車を停めに行った。

最初に向かった森の駐車場は――満車。

そのまま松村駐車場方面へ。

ぐるっと回って戻り、
奥まで入ってみると空きがあった。

無事に駐車。

ここから一人、
夜の小布施を歩いて会場へ向かう。

家族を探していると、
以前、小布施総合公園で知り合ったご家族と再会した。

今回は、
こちらから妖怪夜会に誘っていた。

穣は友達を見つけると、
あっという間に遊び始める。

そんな中、

「小学生の部、エントリーします」

という案内が流れた。

せっかくだ。

三兄妹も仮装コンテストにエントリー。

鴻山の妖怪夜会の仮装コンテスト受付で、司会者の前に並ぶ三兄妹
オバケ三兄妹、妖怪夜会の仮装コンテストに登場。

色とりどりの照明に包まれたステージ。

家で騒ぎながら作ってきた三兄妹の仮装も、
ここへ来るとすっかり夜会の景色に溶け込んでいた。

結果発表までは、まだ時間がある。

ならば、
スタンプを集めながら夜の小布施を回ろう。


お化け屋敷へ

最初に向かったのは、
高井鴻山記念館のお化け屋敷。

私と妻、織と藍の4人で入った。

高井鴻山記念館のお化け屋敷入口で、妻と娘たちが入場を待つ様子
この先、本当に「怖くない」で済むのか。

明るい会場から、
黒幕の向こう側へ。

最初、織はワクワクしていた。

藍は少し怖そう。

ところが中へ入ると、
織もだんだん怖くなってきた。

私の手を、
ものすごい力で握る。

怖い。

でも見たい。

怖い。

でも先へ行きたい。

そんな感じだった。

すると前にいた女の子たちが、

「怖いんです。すみません、一緒に行ってください」

途中から、
その子たちとも一緒に進むことになった。

外へ出る。

シールを一枚もらう。

すると織と藍は、
急に強気になる。

「怖くなかったよ」

二人して言う。

「じゃあ、もう一回一人で行ってきな」

すると、

「やだやだやだやだ!」

即答。

怖くなかったんじゃないのか。


ぶどう3姉妹

次のポイントでは、
輪投げかクイズを選べた。

妻と藍は輪投げ。

私と織はクイズ。

問題は、

「ぶどう3姉妹は、ナガノパープル、シャインマスカットと?」

鴻山の妖怪夜会で、ぶどう3姉妹のクイズに挑戦する子どもと出題スタッフ
さて、答えはどっち。

選択肢の一つは、
クイーンルージュ。

織が聞く。

「お父さん、わかる?」

「しーちゃんはどっちだと思うの?」

すると、

「やだやだ。間違えたくない」

妙に慎重だ。

最後は、
クイーンルージュを選んだ。

正解。

その横では、
藍が輪投げを全部投げ終わっていた。

一本も入らなかった。

「ママがそっち行ってるからだよ」

笑いながら、
ちょっと怒っている。

なぜか、お母さんのせいになった。

それでも係の方が
サービスでシールをくれた。

無事、
姉妹そろって次へ進む。


こわ〜いはなし

東門付近へ行くと、
「こわ〜いはなし」の会場があった。

高井鴻山記念館の穀蔵前に設けられた「こわ〜いはなし」の案内
灯りの先に、少しだけ不穏な気配。

小さな灯りに照らされた穀蔵。

昼間とは、
まるで違う雰囲気だった。

ただ、
ちょうど一回終わったところ。

怖い話を聞き終えた人。

クイズに並ぶ人。

行き来する人。

そのあたりだけ、
少し混雑していた。

私たちは、
そのまま次のクイズへ向かった。


りんごの花はどっち?

次の問題は、

「りんごの花はどっち?」

鴻山の妖怪夜会で、りんごの花を見分けるクイズに挑戦する参加者たち
見慣れているはずの花も、問題になると少し迷う。

私は答えを教えない。

「毎年見てるよ」

「保育園の前にも、いろんなところに咲いてるよ」

あとは、
妻と織と藍に任せる。

答えは――正解。

知識として覚えたものではなく、
普段の暮らしの中で見ている花。

それを当てるクイズだった。


夜の栗の小径

東門を抜けると、
栗の小径。

昼間なら何度も歩いている。

でも夜になると、
まるで違う。

夜の栗の小径を家族で歩く様子と、灯りに照らされた土壁や石畳
昼とは違う静けさに、足音だけが残る。

足元の灯り。

土壁。

木々の影。

細い道。

藍が言う。

「待って、待って」

そして、

「ギュッとして」

少し離れようとすると、
また、

「ギュッとして」

さっきは、
「怖くない」と言っていたのに。

そんな栗の小径を歩きながら、
昔の小布施を思い出した。

小布施へ来た頃。

裏道は、
今よりずっと暗かった。

細い道を歩いて国道403号へ出ると、
国道沿いにローソンがあった。

その反対側には、
当時のカブトムシ。

今は、
そのローソンもない。

カブトムシの場所も変わった。

考えてみれば、
当時はまだ車の免許もなかった。

それなのに、
今ほど町を歩き回ってはいなかった気がする。

不思議なものだ。

今では、
子どもたちと手をつないで、

夜の小布施を歩いている。


北斎館でひと息

栗の小径を抜けて、
北斎館へ。

まず何をしたか。

「とりあえずトイレ行ってこよう」

子ども連れで夜の町を歩いていると、
トイレが使えるのは本当にありがたい。

ひと息ついたところで、
次はクイズ。

問題は、

「北斎の誕生日は?」

北斎館で葛飾北斎の誕生日クイズに挑戦する家族と出題スタッフ
知っているつもりでも、聞かれると少し考える。

すると妻が、

「何回か来てるんだから知ってんじゃないの?」

確かに。

何度か来ている。

でも、
いざ聞かれるとすぐには出てこない。

少し考えて、

「10月31日」

正解。

旧暦では9月23日。

何度も来ている場所でも、
クイズにされると意外と難しい。


北斎の波

そのあと、
私は藍と二人で祭り屋台の展示を回った。

夜に見ると、
昼間とはまた違って見える。

「夜、かっこいいね」

そんな話をしながら歩いていると、
藍が北斎の波を見つけた。

指をさして言う。

「これ、お父さん。ジョーくんのバッグの」

北斎館の祭り屋台展示で、葛飾北斎の波の図柄を指さす娘
見つけた瞬間、藍の指がすっと伸びた。

穣は以前、
この北斎の波がかっこいいと言って、

同じ図柄のバッグを買ったことがある。

家では今、
私も北斎の波の2000ピースパズルに挑戦中だ。

藍の中では、

北斎の波。

穣のバッグ。

家でお父さんが作っているパズル。

ちゃんと全部、
つながっていた。


北斎館を出て

北斎館を出る。

館の前には、
丸山珈琲と中野西高校のコラボによる出店があった。

妻はコーヒー系の飲み物。

織が飲んでいたのは、
青い「西ソーダ」。

なぜ「西」なのか。

中野西高校の「西」なのか。

そこまでは分からない。

でも青い。

そして織は、
嬉しそうに飲んでいた。

夜の小布施で灯りに照らされた蔵部の建物と旗
次の目的地へ向かう途中、ふと足を止めた夜の景色。

そこから、
国道403号の方へ歩く。

夜の小布施は、

昼間なら何気なく通り過ぎる場所も、
灯りが入ると少し違って見える。


カブトムシの先へ

途中、
カブトムシのところで私は一服。

カブトムシのオブジェと、日本のあかり博物館へ続く短い通りを並べた2枚組写真
夜の途中で、少しだけ立ち止まる。

カブトムシのオブジェから、
日本のあかり博物館へ続くほんの短い通り。

そこから国道403号を渡り、
日本のあかり博物館へ向かった。


あかり博物館で「ろくろ首」

ここでは、
今までの二択クイズとは少し違った。

館内にある手がかりを頼りに、
キーワードを探していくミッションだ。

1階。

2階。

展示を見ながら探していく。

その中で、
一番苦戦したのが、

「ろくろ首」。

手がかりは、

「ガラスの燭台」。

ところが、
ガラスの燭台は1階にもある。

「ないよ」

「あれ?」

「どこ?」

完全に詰まった。

うちの家族だけじゃない。

周りの参加者。

友達の親。

みんなで集まって探している。

すると、

「2階にありました」

え。

2階?

みんなで急いで上がる。

――あった。

「あった!」

子どもたちは喜ぶ。

しかし、
友達たちはもう先へ行っている。

「待って待って」

今度は慌てて追いかける。

他の問題は比較的すんなり解けた。

でも、
この「ろくろ首」だけはかなり苦戦した。

気づけば、
日本のあかり博物館だけで1時間近くいたような感覚だった。

日本のあかり博物館で妖怪ミッションに挑戦しながら展示を巡る家族の様子をまとめた9枚組写真
一枚では収まらないほど、館内をたっぷり歩いた。

展示を見る。

手がかりを探す。

また次の場所へ。

館内を行ったり来たりする時間そのものが、
ひとつの遊びになっていた。


5個クリア、そして別れ

ミッションを全部終え、
再び国道403号を渡る。

高井鴻山記念館の会場へ戻った。

スタンプシールは5個。

全部クリア。

さあ、
お菓子をもらおう。

――と思ったら。

お菓子、終了。

ない。

ここまで頑張ったのに。

代わりの景品をもらい、
スタンプ巡りはこれで終了。

お菓子は残念だった。

でも、
5個全部集めたことの方が、

子どもたちには大きかったようだ。

そんな頃、
誘っていた友達家族から、

「そろそろ帰ります」

と連絡が来た。

戻ると、
ちょうど合流。

「今日はありがとう」

「また遊びましょう」

「今度はゆっくり飲みましょう」

友達家族を見送る。

妖怪夜会の会場で、帰る前に話す子どもたち
別れ際ほど、話はなかなか終わらない。

子どもたちは、
まだ少し話し足りなそうだった。

そして、その直後。

会場から聞こえてきた。

「これから結果発表を始めます」

そのまま、
仮装コンテストの会場へ戻る。


三兄妹、3位

最初は、
なかなか呼ばれない。

そして――

3位。

3位の一組に、

穣、織、藍。

三兄妹が選ばれた。

賞品は、
ツルヤの商品券1,000円分。

鴻山の妖怪夜会の仮装コンテストで、三兄妹が表彰される様子をまとめた4枚組写真
家で始まった仮装が、最後はステージの上へ。

穣は、
こういうとき意外と喋らない。

シャイで、
ちょっと固まっている。

織はニコニコ。

藍は、
まだ何が起きたのか飲み込んでいるような顔。

あとで穣に聞いた。

「3位って呼ばれたとき、どう思った?」

「嬉しかったけど、友達ともっと遊びたかった。」

なるほど。

賞より先に、

さっき見送った友達のことが
残っていた。

織は、

「うれしかった。」

シンプル。

藍は、

「可愛いのとか怖いのとかさ、いっぱいお化けいたよね。藍ちゃん魔女だから」

順位よりも、
たくさんいたお化けたちの方が、強く残っているらしい。


帰ってからも夜会

最後に聞いた。

「今日、一番楽しかったのは?」

穣は、

「友達と遊べたこと。」

スタンプでもない。

お化け屋敷でもない。

3位でもない。

やっぱり友達だった。

織は、

「遊びに来てくれた家族の兄弟がかっこよかった。」

そこか(笑)。

藍は、

「おばけって怖いんだよね。けど、可愛いお化けいっぱいいたね。藍ちゃん魔女だから。」

自分も、
しっかりお化け側である。

そして、
まだやり残したこともあった。

穣は、
日本のあかり博物館のクラフトコーナーで、

明かりを作りたかった。

「作りたかったなあ」

織は、
会場にあった1回500円の妖怪メイクをやりたかった。

でも、
混んでいたり、

ほかで遊んでいるうちに
できなかった。

「やりたかったなあ」

全部はできなかった。

それでも三人とも、

「またやりたい!」

会場を出たのは、
20時30分過ぎ。

藍のひと言は、

「お腹減った」

「じゃあ、帰って食べようぜ」

家に着いたのは、
21時少し前。

これで妖怪夜会も終わり。

――と思ったら。

会場で妖怪メイクができなかった織と藍。

今度は家で、

なぜかお母さんにメイクをしていた。

妖怪夜会から帰宅後、顔にメイクをした母親と笑顔で並ぶ娘
帰ってきても、まだ妖怪気分は抜けない。

結局、
寝る時間はだいぶ遅くなった。

妖怪夜会は、

家に帰ってからも
少しだけ続いていた。

帰り道、
穣には言われた。

「支度するのが遅いからだよ」

確かに、
その通りだった。

出発前からバタバタして、

怒ったり。

兄妹でぶつかったり。

来年は、
もう少し早く支度しよう。

そんな話をしながら帰っていると、
妻が言った。

「また、みんなで来れるといいね。」

2026年9月5日。

妖怪を見に行った夜というより、

三兄妹が妖怪になって、
家族みんなで小布施の夜を歩いた夜。


ここまで読んでいただき、
ありがとうございました。

この記事をきっかけに、

「小布施へ行ってみたい」

「家族で妖怪夜会をのぞいてみたい」

そんなふうに思っていただけたら、
うれしいです。

これからも、

実際に歩いて、
見て、聞いて、感じた小布施のことを、

家族の思い出と一緒に残していきます。


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