長野県小布施町にある「日本のあかり博物館」を、妻と子ども3人で訪れました。
昔の灯火具を眺めるだけでなく、私たちが訪れた日は、子ども向けの「ようかいさがし」というワークシートも用意されていました。
この記事では、入館料や開館時間、駐車場、小布施駅からのアクセス、見学にかかった時間と、家族で歩いた一日を紹介します。
日本のあかり博物館の料金・駐車場・所要時間
入館料・開館時間
- 入館料:大人500円、高校・大学生400円、小・中学生無料
- 開館時間:3月21日〜11月20日は9時〜17時
- 開館時間:11月21日〜3月20日は9時30分〜16時30分
- 休館日:水曜日(祝日の場合は開館)、年末年始
- 8月・10月・11月は無休
アクセス・駐車場
- 電車:長野電鉄「小布施駅」から徒歩約8分
- 駐車場:竹風堂小布施本店駐車場を利用
- 駐車料金:1時間300円
- 博物館利用者は、駐車券の提示で最初の2時間が無料
見学時間・子連れ設備
- 大人だけの見学時間:30分〜1時間ほど
- 子ども3人とワークシートを楽しんだ場合:1時間〜1時間30分ほど
- 子連れ設備:貸し出し用ベビーカー1台、屋外に多目的トイレあり
- 館内設備:貸し出し用車椅子2台あり
- 2階へ上がるエレベーターはありません
子ども向けのワークシートや企画は、時期によって内容が変わる可能性があります。
料金や開館時間を含め、訪問前に日本のあかり博物館公式サイトで最新情報をご確認ください。
ネットで見かけたんですよ。
「親子が一緒に過ごせる時間は、実はとても短い」ってやつ。
読みながら、なんかこう、ちょっといい親みたいな顔になって。
腕なんか組んじゃって。
「うんうん、わかるなぁ」って。
気づいたら、めちゃくちゃ頷いてる自分がいた。
なんなら、少しだけ目も潤んでる。
……いや、誰だよそれ。
まず、そうはならない。
で、思うわけですよ。
「一日一日を大事にしよう」とか。
「ちゃんと向き合おう」とか。
いいこと言ってるな、俺。って顔で。
……いい加減にしろ。
⸻
で、現実。
さっきまで片付けたはずの部屋。
気づけば、元通り。
「さっき言ったよね?」が、もう一回。
いや、これで三回目。
「さっき言ったよな?」

本人の中では、ちゃんと並んでる。
静かだなと思ったら、
だいたい俺の意と反してる。しかも全力で。
でもまぁ、いいかと思う。
たぶん、こういうのなんだろうなって。
ちゃんとしてない時間。
でも、あとで笑えるやつ。
まぁいいや。
今日も、にぎやかにやっていきますか。
⸻
身体は思うように動かない。気持ちも、追いつかない。
テレビの前に簡易ベッドを広げて、横たわっていた。
そんな中で、妻が言った。
「博物館、行こうか」
息子が続く。
「お父さん、歩けばいいじゃん」
……図星だ。
気づけば、娘たちも支度を始めていた。
結局、俺は歩いた。
いや、歩かせてもらった、が正しい。
ただ歩くだけ。それなのに、今日は違った。
足の痺れが、どうしても動きを遅くする。
正直、もどかしい。
でも、子どもたちと歩くには、ちょうどいい。
家族と歩くと、ただの一歩じゃなくなる。
⸻
小布施陣屋跡で、ひと休み
小布施陣屋が置かれていたのは、
元禄14年(1701)から、
正徳5年(1715)までの、わずか15年間。
どちらにせよ、300年以上前の話だ。
いろは堂のおやき(栗あん)を齧る。
長野県を代表する、独特なおやき。
県内にはたくさんのおやきがあるが、ここのは生地が違う。
もちもちしていて、美味い。
なす、きのこ、大根、人参。
そんな絵が入っていた、おやきを包む紙。
子どもの一声に、店員が反応して、
勧められた向きのまま、逆らわずに、皿と湯呑みを買った。

あのデザインは――原山尚久先生のものだった。
生前、お会いすることは叶わなかった。
鬼無里の本店で、
この方が残した行燈に出会ったことがある。
でも、
あのとき見た灯りの空気だけは、
今も、どこかに残っている気がする。
日本のあかり博物館へ
小布施陣屋跡でひと休みしたあと、
歩いて向かったのは
「公益財団法人 日本のあかり博物館」。

日本のあかり博物館は、
1982年に開館した、
日本で初めて灯火具を専門に扱う博物館。
収蔵されている963点の灯火具コレクションは、
国の重要有形民俗文化財に指定されている。
受付の周りには、
あかりに関する資料や小物、燭台、
ちょっとした土産品が並んでいた。
その横で、妻が受付の人と話している。
娘の友達のばあちゃんだった。
「お世話になっております」
子どもたちは「ようかいさがし」に夢中
そのまま館内を進む。
暗さに目が慣れてくる。
足音だけが、少し響く。
子どもたちは展示の説明を読みながら、
「ようかいさがし」に興味津々。
少し怖がりながらも、
ワークシートを手に、館内を探していく。

「あった!」
「これじゃない?」
「み〜つけたッ!!」
子どもたちの声が、
暗い館内に響く。
気づけば、3人とも夢中になっていた。
昔の道具をただ眺めるだけでは、
ここまで興味を持たなかったかもしれない。
自分で探して、
考えて、
見つける。
一枚のワークシートが、
昔の道具と子どもたちを繋いでいた。
⸻
行燈皿と燭台を、子どもの目で見る
行燈皿や燭台の展示で、
今度は俺の足が止まった。
正直、ここへ来る前は、
昔の道具が静かに並ぶ博物館だと思っていた。
でも、それだけではなかった。

子どもは面白いものとして見ていた。
館内をあちこち見て回っていた息子が、
俺のところへ戻ってきて言った。
「お父さん、あれかっこいいね」
鉄でできた燭台だった。
「何に使うの?」と聞くと、
「花火のときにさ、こうやって火つければ、熱くなくていいじゃん」
……なるほどな。
大人には、昔の灯りを支えた道具。
息子には、
花火の火を安全につけるための道具に見えていた。
古いものを、
自分の知っている暮らしに結びつけて考えている。
ちゃんと考えてるんだな。
鼻っつらがくすぐったくなって、
気づけば、にやけていた。
⸻
帰り際に、
昔懐かしい土産をひとつだけ買った。
展示品限りで残っていた、
古いマッチ。
このときは、
ただ懐かしいと思って手に取っただけだった。
子どもたちも、
「ようかいさがし」のワークシートを終え、
館内をひと通り見て回った。
外に出ると、陽射しがきつい。
暗い館内に慣れた目には、
少しまぶしすぎるほどだった。
⸻
カブトムシのオブジェ

このカブトムシのオブジェは、
昔、国道403号沿いにあった頃、
仲間と酔った勢いで記念撮影をした場所でもある。
肩を組んで、
角みたいな頭なんかしながら、
馬鹿みたいに笑っていた。
あの頃は、
まさか自分が、
家族を連れてここへ来るなんて思っていなかった。
今は、
子どもたちの後ろ姿を見ながら、
自分がカメラを構えている。
中野土びな館 文庫蔵

妻は、
子どもたちにアイスを買いに連れて行かれた。
その隙に、
俺はひとりで文庫蔵をのぞいた。
館内には、
中野市に伝わる土びなが約180点、
静かに並んでいる。
中野市には、
二つの流れをくむ土人形が残っている。
京都・伏見人形の流れをくむ「中野人形」と、
愛知・三河の流れをくむ「立ヶ花人形」。
中野人形は、
江戸時代末期から受け継がれてきた。
立ヶ花人形は、
明治時代に三河の瓦職人の指導を受けて始まったという。
生まれた時代も、
伝わってきた道筋も違う。
それでも、
二つの土人形は北信濃の同じ地域に根を下ろし、
今も昔ながらの技法で作り続けられている。
流れの異なる二つの伝統が、
同じ土地に残っていることは珍しいらしい。
派手ではない。
でも、
誰かが作り、
誰かが飾り、
次の代へ残してきた。
静かに並ぶ土びなを見ながら、
残ってきた理由が、
少しだけ分かった気がした。
⸻
煙の向こうに、昔の小布施を想う
カブトムシの前にある喫煙スペースで、
ひと息ついた。
タバコに火をつける。
煙が上がる。
吐き出した煙を眺めているうちに、
また、ぼんやりと妄想が膨らんでいく。
昔なら、
ああいう煙を見て、
「狼煙が上がったぞ」
なんて言っていたのかもしれない。
ふと、
以前に見た小布施の祭り屋台を思い出した。
小布施町には、
7基の祭り屋台が残っている。
東町と上町の2基は北斎館に展示され、
残る5基は、おぶせミュージアム・中島千波館に収蔵されている。
その中で最も古いのが、
文化3年(1806年)に造られた東町の祭り屋台。
祭り屋台は、
北斎が小布施を訪れるより前から、
この町にあった。
その後、
天保15年(1844年)に、
葛飾北斎が東町祭り屋台の天井絵「龍」と「鳳凰」を描いたという。
さっき見た土びな。
博物館で見た燭台や行燈。
そして、祭り屋台。
生まれた時代は、
それぞれ違う。
それでも、
誰かが使い、
誰かが願い、
誰かが守ってきた。
別々の時代に生まれたものが、
今も小布施の町の中で重なっている。
煙の向こうに、
昔の町の風景が見えたような気がした。
そのとき、
子どもたちの声が聞こえた。
妄想から、
現実へ引き戻される。
栗の小径
敷き詰められた栗材を、
子どもたちが、
ひとつひとつ踏みながら歩いていく。

足元ばかり見て、なかなか進まない。
「おい、前見ろよ。」
「見てるよ〜。お父さんも見てよ。」
「いもうとばっかり見てないでさ〜」
「これ何コレ、見て!これ?」
そんなやり取りをしながら、
結局、ゆっくり歩く。
――まぁ、こういう帰り道が、一番残る。
⸻
さて、今日もいい一日だったなと。
ちょっとだけ、いい親みたいな顔して、
「ちゃんと向き合えたな」なんて思いながら、玄関を開ける。
さっき片付けたはずの部屋が、
見事に、朝より散らかってた。
……誰だよこれやったの。
いや、分かってる。
分かってるけど一応聞く。
「さっき言ったよな?」
シーン。
あ、これダメなやつだ。
と思った瞬間、
奥から声が飛んでくる。
「パパー!マッチどこー?火つけていいー?」
……おい待て。
それは今日、一番覚えちゃいけないやつだ。

結局――
今日いちばん学んだのは、
子どもではなく、俺の方だった。
昔の灯りや、
土びなを見ていたはずなのに、
気づけば、
「残っていくもの」のことを考えていた。
祭り屋台。
土びな。
燭台。
行燈。
どれも、
ただ古いものじゃない。
誰かが使い、
願い、
守ってきたものだった。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
こうした何気ない一日を、
これからも記録として残していきます。
もし気に入っていただけたら、
👣足あとを残していただけると励みになります。
小布施を歩いてつながった記録
日本のあかり博物館の周辺には、
歩いて立ち寄れる文化施設や、小布施の歴史を感じられる場所があります。


コメント