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何でもない夏の日

赤ちゃんと寄り添って寝転ぶ父親 3児の父

昨晩は、
ついつい深酒したらしい。

……いや、
呑み過ぎたつもりは無かったんだけど。

目を覚ますと、
兄妹の通う保育園は学級閉鎖。

長女も休み。

俺も特別休暇。

つまり――

本日も、
臨時休業だった。

朝メシを食べて、
「ごちそうさま」と手を合わせる。

妻と役割分担をして、
トイレと風呂掃除。

家中の窓を開け、
空気を入れ替える。

布団を干し、
手の届く範囲を消毒。

その横で、
兄妹は朝から大騒ぎだった。

ドンブラザーズ好きの長男。

プリキュア好きの長女。

何でも口に運ぼうとする次女。

目に入るもの全部に、
心を奪われている。

ヒーローやプリキュアのような変身ポーズを真似して遊ぶ兄妹の写真
掃除してる横で、突然始まる変身ごっこ。
今日は何者になっていたのか、もうよく分からない。

また散らかっていく。

まるで、
家の中が祭りみたいだった。

少し落ち着いた頃。

「どっか行くか?」

そう言ったのは、
たぶん、
俺の方が限界だったからだと思う。

ひとつの場所に、
全員まとめておくには、
エネルギーが有り余っていた。

妻も、
少し草臥れていたのか頷いた。

行き先は――

佐久平PAから入れる、
ハイウェイオアシス【 パラダ 】。

最近、
職場の同僚から、
「空いてて狙い目ですよ」
と聞いていた場所だった。

車に乗った瞬間から、
兄妹は大騒ぎだった。

窓の外を指差しながら、
次々に何かを発見していく。

喧嘩して。

笑って。

歌って。

騒いで。

菅平でトイレを我慢できず、草むらで立ち小便する長男をイノシシスタンプで隠した写真
まさかの“小便小僧”状態に、車内は大笑いだった。

気づけば、
途中から眠そうになっていた。

菅平を越えた頃には、
睡魔と闘っていた。

……が、
次女がお漏らし。

急遽、
イオンモール佐久平へ寄る。

オムツ交換に、妻が行く。

その間にも、
兄妹は止まらない。

佐久平イオンモールで買い物やゲームを楽しむ兄妹
佐久平イオンモールに立ち寄っただけなのに、
気づけばゲームとお菓子売り場で大冒険になっていた。

長男は、
オヤツ売り場で真剣な顔。

長女は、
雑貨売り場で色気づいている。

――ませた小娘だな、
なんて思いながら見ていた。

次女を抱き抱えた妻は、
長男と長女に呼ばれて、
あっちへこっちへ大忙し。

身体がひとつじゃ足りない。

抱えられた次女は、
そんな兄と姉を、
じーっと真剣に見ていた。

休憩に寄っただけなのに、
パラダへ向かおうとすれば、
ゲームコーナーとガチャガチャの前で止まる。

兄妹そろって、
狙った獲物を逃さない。

完全に、
祭りだった。

ようやく着いたパラダ。

上信越自動車道、
佐久平PAから、
ジャンボエスカレーターに乗って向かう。

佐久平パラダでカブ太くんやジャンボエスカレーター、カブトムシドームを楽しむ兄妹と家族
カブ太くんと過ごした夏、家族で歩いた記録。

パラダには、
大人も子どもも遊べる施設が沢山ある。

……が、
思いつきで来たから、
何の予定も立てていない。

とりあえず、
カフェでピザを注文。

妻と、
軽く作戦会議。

その間も、
長男は落ち着かない。

気になるものを見つけるたび、
席を離れて、
また戻ってくる。

最初に向かったのは、
兄の勧めで
昆虫体験学習館。

体験コーナーで工作をして。

大小様々な蝶の標本を眺めて。

水槽の中には、
懐かしいゲンゴロウやイモリ。

「何これ!?」
「こっちは!?」

兄の質問に答えながら、
一緒になって覗き込んでいた。

そのまま、
カブトムシドームへ。

長男の目が、
一気に輝き出す。

夢中になって探している。

カブトムシを探す長男
虫を見つけるたび、目が輝いていた。

……けれど、
どこに居るのか、
まだよく分かっていない。

石の下を探したり。

俺のカバンを探したり。

「スタッフのおじさんのポケットかな?」
とか言って、
自ら聞きに行って。

おじさんに教えてもらいながら、
ようやく見つけた。

カブトムシを探す長男と蝶を見つけた長女
長男はカブトムシを探して、
長女は蝶を追いかけていた。

恐る恐る捕まえては、
また離す。

やっと捕まえたと思ったら、
「もっと沢山捕まえたい」
と目を輝かせている。

長女は、
「なんだこれ?」
みたいな顔で、
不思議そうに観察していた。

カブトムシを不思議そうに見つめる長女
夢中なのは、兄だけじゃなかった。

蝶を見つけた時だけ、

「ちょうちょ!
ちょうちょ!」

と、
何度も叫んでいた。

帰り際。

売り場でカブトムシを探す兄妹
隠れていたカブトムシを見つけて大興奮。

スタッフの人に、
オスとメスを選んでもらい、
嬉しそうに持って歩いていた。

その途中。

長男は、
アスレチックに目を奪われていた。

「遊びたい!」

その顔を見ながら、

――ごめんな。

今日は、
急に連れて来ただけだった。

また今度、
ちゃんと遊びに来ような。

そう思いながら、
駐車場へ向かった。

急な予定にも、
応えてやれるように。

もっと、
余裕を持てる父親になりたいとも思った。

駐車場へ向かう帰り道。

突然、
長男がカブトムシを逃がした。

「なんで逃がしたの?」

そう聞くと、
長男は当たり前みたいな顔で言った。

「お家に一緒に帰りたく無いって!」

その答えが、
妙に可笑しくて。

笑いを堪える必要なんて、
全然無かった。

きっと、
カブトムシを逃せば、
また一緒に遊べると思ったんだろう。

とにかく、
遊びたかったんだと思う。

帰り道。

気づけば、
妻と子ども達は、
車の中で眠っていた。

東御市の【 雷電くるみの里 】

道の駅で休憩。

静かな車内に、
小さな寝息だけが響いている。

カーオーディオから流れる、
KODAMA AND THE DUB STATION BAND。

朝日のあたる家 〜DUB VERSION〜

低音の振動。

家族の寝息。

車内に混ざる、
夏の生活音。

その全部が、
妙に心地良かった。

車を降りて、
煙草に火を点ける。

西陽に照らされた帰り道。

遠くには、
入道雲。

吐き出した煙を見ながら、

「あぁ、
夏だな」

そんな事を、
ぼんやり思っていた。

東御市の雷電くるみの里で休憩する家族
寝起きのアイスと水分補給で、
夏の暑さを乗り切っていた。

起きてきた兄妹は、
トイレ休憩ついでに、
アイスで水分補給していた。

その時、
妻から一言。

「洗濯物と、
干した物取り込まなきゃ」

現実に戻されて、
帰宅へ向かった。

家へ帰ったのは、
夕方だった。

……が、
そこでは終わらない。

知人から電話が鳴る。

「中野の陣屋夏祭り、
おいで?」

気づけば、
また車を走らせていた。

中野の陣屋夏祭りで露店やヨーヨーを楽しむ妻と子ども達
中野の陣屋夏祭り。
露店やヨーヨーを楽しみながら、夏の夜を家族で過ごしていた。

祭りの灯り。

ヨーヨー。

光るブレスレット。

露店の匂い。

兄妹は、
また目を輝かせている。

長男は、
いつの間にか露店の手伝いまでしていた。

露店を手伝う長男
遊ぶ側だったのに、気づけば手伝っていた。

長女は、
光る玩具に夢中。

抱っこされた次女は、
あちこちを真剣に見ている。

目が合うたび、
急に笑い出す。

その顔を見て、
妻も笑っていた。

知人に勧められるまま、
ビールを流し込む。

その横では、
兄妹が、
また目を輝かせていた。

……うまい。

帰りの運転は、
妻に頼んだ。

帰り道。

「お腹減った」

長男の一言で、
小布施町にある
【 TOMMYS’ BURGER 】へ。

久しぶりの再会。

店主の富田氏と、
バイトの水口氏。

小布施町にあるTOMMYS’ BURGERの店主とスタッフ
小布施の夜に、久しぶりの再会。

ピザとバーガーを頼み、
ビールで乾杯した。

家に着いてから、
子ども達とシャワーを浴びる。

夏はやっぱり、
風呂上がりのビールがうまい。

近所の方から頂いた夏野菜。

それを使った、
妻の漬物。

祭りの景品で遊ぶ兄妹に、
付き合わされている妻。

その横で、
次女を抱きながら、
酒を呑む。

這えば立て。

立てば歩め。

なんて言うけれど。

気づけば、
子ども達の成長に、
一喜一憂しながら。

自分の方が、
幸せに酔っていた。

「パパ、
もう寝る時間だよ〜」

寝る前に変身ポーズを真似する兄の姿
寝る前にも、変身するらしい。

「今日は、
楽しかったから、
時間が経つの長かったよ〜」

両手を広げながら、
飛び込んで来る兄妹。

そのまま抱き抱え、
寝室へ。

「おやすみ」

そう言いながら、
腕枕をしていたら。

気づけば、
自分の方が先に、
眠りそうになっていた。

蝉時雨の降り注ぐ、
夏の盛り。

今年もまた、
夏が過ぎていく。

きっと、
こういう何でもない時間を。

あとになって、
幸せだったと思い出すんだろうな。

気づけば、
何でもない夏の日ばかり、
記憶に残っている。


歩きながら、
少しずつ繋がっていった記録です。

▶ 流れ着いた町で、生き直すことにした話
▶ 不便でもいいと思えた、小布施での暮らし
▶ 3児の父になって、やっと分かったこと
▶ 御開帳と善光寺焼シリーズ
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