リハビリを兼ねて、
事務所の掃除をしていた。
流し台の隅から、
黒い埃の塊が出てきた。
いつからあったのかは分からない。
誰が落としたのかも分からない。
ただ、
昨日の朝は確実になかった。
なぜなら、
それを見つけて片付けるのが、
今の俺の仕事だからだ。
⸻
埃というものは不思議だ。
最初は小さい。
気にも留まらない。
ところが、
放っておくと少しずつ増える。
誰も気づかないまま増える。
そして気づいた頃には、
そこにあるのが当たり前みたいな顔をしている。
人の世も似たようなものらしい。
職場にも埃は溜まる。
机の上ではない。
人の心の隅にだ。
いなくなれば誰かの悪口が始まる。
文句。
不平。
不満。
聞いていると、
みんなもっともらしい。
だから伝えた。
困っているなら改善した方がいい。
少しでも働きやすくなればいい。
そう思っただけだった。
ところが面白い。
いざ話が表へ出ると、
急に静かになる。
さっきまで元気だった声が消える。
威勢の良かった人ほど、
姿が見えなくなる。
あれだけ積もっていた言葉は、
どこへ行ったのだろう。
⸻
その時に思う。
俺はゴミ箱ではない。
愚痴を捨てる場所ではない。
悪口を集める場所でもない。
責任だけ押し付けられる場所でもない。
言いたいことがあるなら、
自分の言葉で言えばいい。
変えたいことがあるなら、
自分の足で立てばいい。
もっとも、
それが難しいから、
埃は溜まるのだろう。
部屋にも。
職場にも。
人の心にも。
⸻
掃除を終えて思った。
人の世には、
よく似たものがあるらしい。
掃除とかけまして、
日々の仕事と解きます。
その心は――
どちらも、
積み重ねが誇りになるでしょう。
埃とかけまして、
人の悪口と解きます。
その心は――
掃除する人は少ないのに、
増えるのは早いでしょう。
なんて。
そんなことを考えながら、
今日も流し台を磨いていた。
大手企業だから綺麗とは限らない。
小さな会社だから汚れているとも限らない。
埃は、
会社の大きさではなく、
見て見ぬふりをした時間だけ積もるらしい。
どうやら、
人の世も台所も、
放っておくと似たようなものらしい。
なお、本記事は特定の個人や団体を指すものではありません。
また、家族や関係者を含め、誰かを攻撃したり誹謗中傷する目的で書いたものでもありません。
人それぞれに事情や立場があり、見えない部分もあります。
誰かを傷つけるためではなく、自分自身の経験や感じたことを記録として残しています。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
こうした何気ない一日を、
これからも記録として残していきます。
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歩きながら、
少しずつ繋がっていった記録です。
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