【実録|善光寺焼】
この実録は、
善光寺焼との出会いの中で起きた出来事を、
時系列でそのまま記録したものです。
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横文を出たあとも、
どこか気持ちは落ち着いていなかった。
あの空間で感じたものが、
まだ自分の中に残っていた。
そのまま、長野駅へ向かって歩き出す。
中央通り。
見慣れているはずの道なのに、
今日はどこか違って見えた。

歩いている途中、
ふと目に入ったものがあった。
「信濃の陶芸」
そう書かれた文字。
看板なのか、木札なのか、
はっきりとは分からない。
けれど、その言葉だけが、
なぜか強く引っかかった。
気づけば足を止め、
そのまま店の中へ入っていた。
そこには、会長が集めたという
コレクションが並んでいた。
静かに並べられた焼き物たち。
その中に、ひとつだけ
目に止まったものがあった。
——善光寺焼の器。

花瓶なのか、徳利なのか。
用途は分からない。
けれど、不思議と目を離せなかった。
本で見たものと、どこか似ている。
けれど、同じなのかどうかも分からない。
ただひとつ確かなのは、
「ここに在る」ということだった。
横文で見たもの。
本で知ったもの。
そして、今、目の前にあるもの。
すべてが、ひとつに繋がった気がした。
あの日は、
そこで終わったはずだった。
けれど実際には、
まだ終わっていなかった。
むしろ、ここで初めて、
一日の意味が形になったように思う。
御開帳という特別な日。
その中で出会ったものは、
ただの出来事ではなく、
ひとつひとつが繋がり、
今の自分に残っている。
あの日から、
少し時間が経った。
あの時出会った器は、
今も暮らしの中にある。
特別な日に使うわけじゃない。
いつもの日常の中で、
手に取り、使っている。

そうやって、
あの時間は終わったわけじゃなく、
今も続いている。
善光寺焼という存在を通して感じたのは、
「モノ」ではなく、
「時間」だったのかもしれない。
これからもきっと、
こういう出会いを繰り返していく。
派手じゃなくてもいい。
自分の手で選んだものを、
自分の暮らしの中で使っていく。
それが、
今の自分の生き方になっている。
「モノ」ではなく、
「時間」だったのかもしれない。
だから今も、
あの日は終わっていない。
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▶ 第一話|出会いは、突然だった①
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